ウソ情報にだまされない、研究と因果関係から読み解く情報の取捨選択

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研究

ビジネス書やビジネスYouTuberなどは、ビジネスに役立つ情報を発信しています。これらは、ビジネスパーソンにとって、自分を成長させるための有用なツールになっている。

たとえば、優秀な社員が行っている行動や考え方、ダメな社員が行っている考え方や考え方を紹介したものがあります。

つまり、優秀な社員のマネをして、ダメな社員のマネをしないようにすると、「あなたも優秀な社員になれる」と言っているわけですね。

基本的に間違いではないでしょう。しかし、過剰な解釈や誤解を招く伝え方が多いことも事実です。ビジネス書やビジネスYouTuberの情報を信じてしまうと、効果がない、逆効果になってしまう可能性があります。

ではどうすればいいのか。

対処方法として、批判的吟味(クリティカルシンキング)を使います。批判的吟味は、一時期ビジネス書などでも多く取り上げられていましたので、ご存知の方も多いと思います。
批判的吟味を簡単に言うと、「その情報は本当だろうか」、「どの程度信用できるのだろうか」という考えをすることです。

批判的とありますが、間違っても情報の揚げ足取りではありません。

正しく情報を得るための方法(考え方)です。情報に対する批判的吟味を統計学やエビデンスの観点から解説していきます。

対象者

  • ビジネス書に踊らされてしまう
  • 批判的吟味の考えが分からない
  • 統計学の考え方が分からない

効果効能

  • 原因と結果の関係の難しさが分かる
  • ビジネス書やビジネスYouTuberとの関わり方が変わる
  • その情報の信頼性や根拠の度合いに注目できる

人間は間違える生き物であると認識すべし

  • 外資系の超有名企業でコンサルしていた
  • ビジネスで成功して、年収○億円稼いでいる
  • 有名大学の教授

こんな人の情報なら間違いないだろうと思ってしまいますよね。

これはハロー効果と呼ばれ、人間なら誰しもそう思ってしまうことです。

しかし、これはバイアス(勘違い)です。経歴詐称は問題外として、背景がしっかりした人でも間違うことがあります。

意図的に過剰な情報を発信している場合もあります(人を集めるため、お金を集めるためなど)。

興味がある分野では、本当っぽい情報なら、根拠は二の次になります。認知バイアスの一種ですね。

本当っぽい答えなら、その根拠っぽいものだけに目がいってしまいます。信じたい情報の根拠のみを、自ら探そうとしてしまいます。

興味ない分野では冷静に判断できる

美容に興味がない前提として、「肌が綺麗な人は、このサプリを飲んでいる」、「肌が綺麗ではない人は、このサプリを飲んでいない」だから、このサプリを飲めば肌が綺麗になる。

  • なんか怪しいですよね。
  • 肌が綺麗って何を基準にしているの?
  • サプリを飲んでも肌が綺麗ではない人はいないの?
  • そもそも美容に興味がある人は肌が綺麗だし、いろんなサプリに興味があるだけでは?

などを考えるかも知れません。

これが批判的吟味です。

批判的吟味は盲信と懐疑の狭間にある

なんでも信じてしまう盲信でもなく、なんでも疑ってしまう懐疑でもなく、有用な情報を得ることはできません。

批判的吟味の方法を理解して、有益な情報を得られるようになりましょう。

因果関係とは

因果関係は原因と結果の関係ですね。

ビジネス書やビジネスYouTuberが発信する情報は、
「こうすれば成功する」
と言うことに集約されていると思います。

そうでなければ意味がありませんね。成功の定義はその場合によって変わりますが、ここでは成功と言う抽象的な理解で問題ないでしょう。

「こうすれば成功する」のこうすればが原因で、成功するが結果ですね。

つまり、因果関係そのものです。では、因果関係を深掘りしてみましょう。

因果関係で有名な基準に、Hillの基準があります。

この9つの基準は全てが満たされないといけない訳ではありません。ここでは、青字のみを見ていきましょう。

強固性

原因と結果の関連が強いかどうかです。

たとえば、「タバコは肺がんのリスクを10倍にする」と「タバコは肺がんのリスクを1.01倍にする」では原因と結果の関連の強さが違います。

前者は因果関係が強いが、後者は因果関係すら疑われます。

一致性

場所や人が変わっても同じようなことが起こるかどうかです。

この業種では、昼寝をする方が精算的だが、異なる業種では昼寝は生産性を向上させない。

この場合は一致性がありません。

昼寝と生産性は直接の因果関係になく、業種が間に入るかも知れません。

特異性

原因が変われば結果も変わるかどうかです。

これは、もっとも興味深いことですね。

なぜなら、結果を変えるには原因を変えれば良いことがわかります。

当たり前のように感じるかも知れませんが、非常に重要なことです。

たとえば、仕事で結果を出すには(結果)、昼寝(原因)をすれば良い。

原因を変化させれば、結果が変化させることができる。

これが一番知りたいことですよね。

どう行動すればいいかが分かる。

非常に興味深い基準だと思います。

時間性

原因が結果よりも時間的に先行しているかどうかです。

原因があった、結果がある。当たり前ですね。

しかし、因果関係を確かなものにするには重要なことです。

エビデンスとして、研究について触れますが、その時にも説明していきます。

実験的研究

介入によって証明されているかどうかです。

これは、今までの基準の総集とも言えます。

原因を変えると結果が変わるかを、実際に実験で確認することです。

これは、今まで説明してきた、強固性、一致性、特異性、時間性がないと証明できませんので、最終確認であり、最も信頼できる情報ですね。

学術的な論文でも価値があり、エビデンスのレベルが高いです。

因果関係を証明する研究方法

研究と言うとお堅いですが、ビジネスでも必要です。

  • 実験的に値段を下げる、または上げる。商品の配置を変えてみる。
  • 営業メールを大幅に減らしてみる。

などを試してみる場合があると思います。

とりあえず試してみようでは因果関係を証明できません。さらに、結果を効果的に変えることもできません。

ここでいう効果的とは、Hillの基準であるように、実際に原因を変えれば結果が変わる(特異性)、場所を変えても(一致性)、大きな効果がある(強固性)ことです。

研究方法を知った上で、因果関係に迫れる良い研究方法で、現実的に実施可能な方法を使いましょう。
まずは、大まかに時間軸で研究方法を見ていきましょう。

現在の一つの時間軸で確認する研究を横断研究と言います。
それとは違い、過去、現在、未来など、時間軸が二つ以上ある研究を縦断研究と言います。

縦断研究の中に、現在から過去を調査する後ろ向き研究、現在から未来を調査する前向き研究があります。心理的な前向き、後ろ向きという意味ではありません。

因果関係に大きく影響する方法は、前向き > 後ろ向き > 横断 という位置付けです。

Hillの基準でもあったように、時間性を考慮していることが分かりますね。

横断研究


ビジネス書やビジネスYouTuberにはこれを根拠としている場合が一番多いですね。

たとえば、仕事ができるひとは、できない人よりメモを多くとっています。だから、メモを多くとりましょう。といったものですね。

この場合は関係があるかもしれませんが、因果関係があるとはいえません。メモを多くとれば、仕事ができるようになる。といった「原因を変化させれば、結果が変わる」とはいえないということですね。違うともいえませんが。

仕事に対するモチベーションが関係しているかもしれません。モチベーションが高ければメモを多くとるし、仕事もできる。モチベーションが低ければ、メモを取らないし、仕事もできない。といったことが、真実として隠れているかもしれません。

後ろ向き研究


現在、仕事ができる人とできない人は、過去にどういった特徴があったのかを調査します。

時間軸が現在と過去の二つあるので、Hillの基準の時間性を満たしています。

この場合は、横断研究より信頼できます。

しかし、仕事ができる人とできない人を比べているので、いろいろな違いが出ます。そのすべてが原因になるかといえば、そうでない場合が多いでしょう。

つまり、研究結果の解釈が難しくなります。なので、研究結果にあまり意味がなく、行動変容に繋がらないことが多いです。

前向き研究


うしろ向きと同じように、時間軸は二つですが、後ろ向きは過去と現在で、前向きは現在と未来といった違いがあります。

この違いは、後ろ向きの欠点であった原因の解釈が難しいといったことが解消されます。

結果に対する原因はなにかを考え、その原因が未来の結果に影響しているかを調べます。

つまり、仮説検証をしています。仮説とは、結果に対する原因はこの因子であるとあたりをつけることです。その仮説が正しいかを調べることを仮説検証といいます。

なので、前向き研究の結果は仮説が正しかったか、間違っていたかの二択で判断できます。シビアですが、研究結果の解釈がしやすいですね。

介入研究


先に示した、横断研究、後ろ向き研究、前向き研究は観察研究です。ただただ観察して、どうだったかを確認しています。

それに対して介入研究とは実際に原因を変化させた群と、変化させていない群を設けて、それぞれが未来でどんな結果になったかを比較する研究です。原因を変化させることを介入といいます。

これは、Hillの基準の強固性、時間性、実験的介入などの基準を満たしており、因果関係があるかを調べるには一番いい方法です。

たとえば、メモを多くとるように介入したほうが、仕事ができるようになるという研究結果が出た場合。研究で使った介入方法(メモを多くとる)を自分もすれば、研究と同じような結果(仕事ができるようになる)になることを意味するため、ビジネスにも非常に有用ですね。

たまに、介入研究を根拠にしているビジネス書を見かけますが、一つの大きな注意点があります。それは、介入群と非介入群をまったく同じ集団にする必要がある、といったことです。

介入前の集団間で違いがあったら、結果の違いは介入が影響したのか、集団間の違いが影響したのかが分からなります。この集団間の違いをなくした状態で介入研究することを、RCTといいます。RCTとはランダム化比較試験です。ランダムとは無作為ですが、同じ集団を作り、1つの原因を変化させることで、その原因が結果に及ぼす影響を調べるための研究方法です。

RCTを中心とした介入研究があれば、エビデンスが高いといってもいいでしょう。質の良い観察研究でも、エビデンスが高いとはいいにくいですね。メディアではエビデンスのあるなしで発言していますが、エビデンスは高いか低いかです

このRCTはビジネスの世界ではAB法とも言われています。

論文の引用

ビジネス書で根拠を示すたびに、介入研究をすることはできません。

なので、根拠を示す場合は学術的な論文を引用します。

論文とは、上で示したような研究を行い、それを体系的にまとめたものを、査読に合格したものをいいます。査読とは、研究の方法や解釈の意味が信頼できるかどうかを、研究内容をよく知る専門家が確認する作業です。なので、論文には信頼性があります。その論文を根拠にすることで、引用した内容にも信頼性を得ることができます。

一般的な日本のビジネス書で論文を引用しているものは非常に少ないです。引用している場合は、各項目や本の最後に引用した論文を記載しています。ためしに、あなたのビジネス書を確認してみて下さい。おそらく、ほとんど論文を引用していないでしょう

しかし、海外の本、翻訳された本は多くの論文を引用しています。それだけ、信頼性のある根拠が大切だと理解しているのでしょうね。

では、日本のビジネス書の著者は論文を見ておらず、信頼性のある根拠なしに書きたいことを書いているのでしょうか?

そんな著者も多いように感じますが、そうでなく、めんどうなので載せていないのでしょうか?

論文を確認して書いてあるのであれば、引用論文を載せる必要はない。いいえ、必ず載せるべきです。なぜなら、批判的吟味ができないからです。

論文も的確に読まないと正確な情報を得ることができません。その論文が本当に言いたいことの根拠になっているかを、読者が確認できるようにしておくべきです。引用論文を載せていないと、読者が論文を確認できません。

わたしは、ビジネス書でも気になる引用論文は確認します。Google検索すれば見られます。お金がかかる場合があるため、有料なら見ませんが。

少なくとも、論文を引用していない主張は信頼性が低いですね。

言葉の定義

仕事ができる・生産性が向上するなどは、抽象的なものですね。

しかし、それを測定し、数値化する必要があります。数値化しないと、どちらが良い結果かの比較ができないからですね。

具体的な数値化

  • 仕事ができる(抽象)⇒人事評価(具体)
  • 生産性が向上する(抽象)⇒労働時間に対する収益が多くなる(具体)

といったことでしょうか。

この、知りたいこと(抽象的事柄)を、知ることができること(具体的数値化)にする方法は1つではありません。

仕事ができる定義は人事評価や出世、年収アップだけで評価することが妥当かを自身で判断する必要があります。「

仕事ができる」ということを、ビジネス書では人事評価で数値化していても、自分では独立後の事業の収益とするなら、書かれている情報を鵜呑みにするのは、間違った判断かもしれません。

なので、抽象的なことは、具体的にはどんな数値に置き換えられているのかを確認し、自分に合った情報であるかを判断する必要があります。

抽象的な言葉はなんとなく分かったと思いこんでしまいます。書かれている言葉の定義を確認しましょう。ほとんどのビジネス書やビジネスYouTuberが言葉を定義していないことに気が付くでしょう。

まとめ

ビジネス書やビジネスYouTuberの情報に限らず、情報は批判的吟味を行う必要がある。

批判的吟味は統計学やエビデンス、研究の知識が必要になる。

批判的吟味ができるようになると、自分に必要で、信頼性のある情報を取捨選択できるようになる。





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