


問題です

ここに4枚のカードがあります。
カードには、片面にはアルファベット、もう片面には数字が書かれている。
このカードにはルールがあります。
そのルールとは、
片面が母音ならば、もう一方の片面は偶数である

このルールが正しく成立しているかを確認したい。
どのカードの裏面をみると、ルールが正しいかを確認できるでしょうか?
4枚カード問題
4枚カード問題とは、ピーター・ウィルソンという研究者が考案した課題で、認知心理学の教科書に載っている非常に有名な問題です。
なぜ、有名かというと、理系の大学生でも正解率が低いからです。つまり、人間の直感に反する答えが成果になっている。または、人間は論理的な推論が苦手である。ということを表しているのかもしれません。
正解
多くの人たちは「A」と「8」を確認する、と考えてしまいます。
ルールが正しければ、
- 「A」の裏は偶数のはず
- 「8」の裏は母音のはず
と考えたはずです。しかし、正解は違います。
答えは、「A」と「3」です。
答えを聞いて納得できましたか?もしできたのなら、これ以下の記事は必要ないでしょう。
しかし、「よく分からない」、「なんか納得いかない」と思われる方は以下の記事を見ると納得できるようになるはずです。では、解説していきます。
解説
では、一つひとつのカードを確認した場合、どんな情報を得ることができるかを見てみましょう。
「A」を確認した場合
Aは母音なので、
- カードの裏が「偶数」ならルール成立
- カードの裏が「奇数」ならルール非成立
となります。カードの裏の情報によってルールの正否が判断できます。
なので、カードの裏を確認する価値があります。
「C」を確認した場合
Cは母音でなく、子音なので、
- カードの裏が「偶数」でもルール成立
- カードの裏が「奇数」でもルール成立
となります。カードの裏の情報によってルールの正否が判断できないですね。
なので、カードを確認する価値がない、ということになります。
「3」を確認した場合
3は奇数なので、
- カードの裏が「母音」ならルール非成立
- カードの裏が「子音」ならルール成立
となります。カードの裏の情報によってルールの正否が判断できます。
なので、カードの裏を確認する価値があります。
ここで、少し納得いかないと思うかもしれません。もう少し解説してみましょう。
「3」の裏が「母音」であったなら、「母音」の裏が「奇数」となり、片面が母音ならば、もう一方の片面は偶数である、というルールが成立しないことになります。
「8」を確認した場合
8は偶数なので、
- カードの裏が「母音」でもルール成立
- カードの裏が「子音」でもルール成立
となります。カードの裏の情報によってルールの正否が判断できないですね。
なので、カードを確認する価値がない、ということになります。
まとめ
つまり、カードの裏を確認することで、結果が異なる(ルール成立 or ルール非成立)場合は、確認する価値があるということになります。
このように、一つひとつ分けて考えてみると、理解しやすくなるのではないでしょうか。
4枚カード問題からの教訓
はじめに間違いやすい答えとして、
- 「A」の裏は偶数のはず
- 「8」の裏は母音のはず
この質問は、正しいことを確認しています。これを、確証バイアスといいます。しかし、これでは、正しい情報を知ることができません。ではどうすればいいのか?
「片面が母音なら、もう一方の片面は偶数である」などのルールの確認は、仮説検証と同じです。
- この薬は効果があるのか?
- この食品には健康効果があるのか?
- この生活習慣は仕事の生産効率を上げるのか?
などの仮説があります。この仮説を立証するには、「ルール成立」を確認するより、「ルール非成立」を確認すること、つまり反対仮説に対する反対を行うことが必要です。これを反証といいます。
- この薬は効果がないことを反証する
- この食品には健康効果がないことを反証する
- この生活習慣は仕事の生産効率を上げないことを反証する
といったことを行うことで、仮説を立証します。
これは、統計学にある「帰無仮説」と同じようなものですね。今回は、ここまでの解説にしておきます。


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