

論文を読む方法は3つの段階があります。
- 読むべき論文かどうかを検討
- 流し読み
- しっかり読む
この3つの段階です。
論文を読むときは、なにかを知りたいときです。せっかく時間をかけて論文を読むわけですから、知りたいことを知れる論文かどうかを取捨選択しなければなりません。
時間を労力をかけて論文を読んだが、「結局なにが言いたいか分からない」、「知りたい情報を得ることができない」、これでは無駄な努力になってしまいます。
なので、 1.読むべきどうかを検討し、まずは、2.流し読みをして、知りたい情報が書いてありそうであれば、3.しっかり読む、といった流れが大切になります。
一応、この後は「精読」という段階になりますが、ここから先は専門的になりすぎるため、割愛します。
論文は、題名・要旨・はじめに・方法・結果・考察、といった構成になっています。
この論文の構成を意識しながら3つの段階を確認してみましょう。
1.読むべき論文かどうかを検討
- 題名
- 要旨
題名
まずは、論文を検索した後は、論文の顔ともいえる題名を確認します。というより目に入りますよね。題名に関心があるキーワードが入っていれば、読むべきかを検討します。
要旨
要旨とは研究の内容が簡単にまとめたものです。研究の概要が分かるため、知りたい情報かどうかがある程度分かります。だいたい20行程度なので、すぐに読めます。
この要旨で興味のある研究目的なのか、知りたい情報が得られる結果なのかを確認できます。
この要旨は研究をギュッとまとめたものなので、要旨だけを見て研究論文を見た気になる人がたまにいますが、それはやめましょう。
さすがに要旨だけでは分かりません。
2.流し読み
- 方法
- 表とグラフ
要旨をみて研究の概要がわければ、もう少し詳細を知らなければなりません。
研究を一言で表すとしたら、
こうしたら、こうなった
前半の、「こうしたら」にあたるものが、方法です。
後半の、「こうなった」にあたるものが、結果です。
方法
論文の一番重要なことろです。「論文の読み方」などでググると、方法を軽視しているサイトがみられますが、ありえませんね。
目的の達成に最適な方法か、この方法によって得た結果に妥当性があるのか、妥当性がないとその後の考察も意味がありません。
この方法を読むためのチェックポイントを提示します。
- 研究デザイン
- 対象者
- 検査項目、データ化した項目
- 分析方法
などがあります。
表・グラフ
表とグラフは結果に記載されています。
結果の中で、著者が重要視しているものが、表やグラフになっています。なので、結果を効率的にみるには、表とグラフをみれば分かります。
方法をしっかり確認していれば、結果は表とグラフで十分な場合がほとんどです。
しかし、表やグラフは見慣れていないと、難しく感じるかもしれません。統計学の知識は必須ですからね。逆に言うと、統計学に知識があり、見慣れてしまうと、評価やグラフは分かりやすい情報になります。データが可視化されているわけですからね。

しっかり読む
- はじめに
- 方法
- 結果
- 結論
- 考察
論文構成の順番と異なりますが、このような順番で読んだ方が良いかと思います。
はじめに
はじめには、研究の背景と目的が書いてあります。
なぜ今回の研究が必要なのか、研究の目的はなんなのか、その目的が達成されることはどういった社会的な意義があるのか、などが書かれています。
なので、自分が詳しくない分野では、このはじめにを読めば、その分野について知ることができます。
方法と結果は「流し読み」と同様、またはもう少し詳しくみる程度で良いと思います。
結論
論文構成では、考察の後ですが、方法や結果からどのような結論に至ったのかを知った方が考察が分かりやすいですね。
この結論と考察は著者の解釈が入っているため、注意が必要です。
研究結果からは言えないことまで主張している場合があります。論理の飛躍ですね。やはり、方法と結果がいかに重要かが分かると思います。
考察
研究結果が目的の達成にどう関与したのか、または仮説検証の結果をどう解釈するのかが書かれています。また、過去の研究論文との整合性も検討されています。なので、過去の論文から得た既成事実と全く違う結果が得られたのなら、疑わしい結果かもしれません。または、今までの事実を根底から覆す新事実かもしれません。
方法と結果だけ見て、どう解釈すればいいか分からなければ、ここの著者の解釈を知ることができます。

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